![]() 下灘駅ホーム。瀬戸内海を見渡せ、青春18きっぷの ポスターに何度も登場。 |
青春18きっぷの販売時期になると、宣伝ポスターがJRの駅に掲示される。若者が鉄道のある旅の空の下に居るというシーンが多いが、これがひとり旅、きままな旅への旅情を掻き立てる秀作ばかりで、もし写真集なんかが出たら、是非とも購入したい位だ。 ポスターには、様々なローカル線の駅が登場した。その中で3回という最多登場回数を誇る駅が、JR四国、予讃線の瀬戸内海に面した駅、下灘駅だ。 伊予大洲発の普通列車に乗り、今やローカル線となった予讃線の海側回り、下灘経由の列車にのんびり揺られる。瀬戸内海に出て、道路より高い所を少し走ると、下灘駅に着いた。 瀬戸内海を一望するホームには私一人が降り立ち、誰も居ないホームで、この広大な海の景色を独り占めだ!だけど、雲が光を隠し、海の色は沈みがちでいまいち冴えない。ホームは西北を向いていて、晴れた日の夕焼けは奇麗そうで、またその時に来て見たいとふと思った。 ポスターには、ホームから海に飛び込めそうなカットの写真もある。しかし、実際に、駅と海との間は、国道がワンクッション挟まり、トラックや車が、時々視界の隅をかすめる。 |
![]() 下灘駅駅前の道。坂の途中の集落の中に駅がある。 写真右の緑色の建物が駅舎。 |
駅舎は小振りだが、しっかりとした駅舎がある。無人化され、窓口は閉じられている。待合室の椅子には座布団が敷かれて、旅人の気持ちを和ませる。そう言えば、駅舎内から見える青い海というシーンも、青春18きっぷのポスターで採用されていた。 駅舎を抜けると、駅前を通る坂があり、その道沿い集落がある。急斜面を背後に、下灘駅や何軒かの家が身を寄せるように並んでいる。駅の正面には商店らしき店があるが、もう営業してなさそうで、自動販売機が置かれるのみだ。だが、少し離れた所の床屋はしっかり営業中で、店舗向いの駅のフェンスを拝借し、十何枚ものタオルをズラリと掛け並べ、乾かしている。だけど、こんな所で商売になるのだろうか? |
![]() 荒れ果てた駅舎横のミニ庭園跡? (サイト内関連ページ:下灘駅の枯池) |
駅舎のまわりを探索していると、雑草の中で、石の灯篭が埋もれ、その横で背の低い松が身をくねらせ伸び出ているのが見えた。雑草の辺りが窪んでいて、その周りに石が置かれている所を見ると、小さな池を配した、ささやかな庭園のようなスペースだったのだろう。雑草などの植物に深く埋もれ、見落としそうだった。だけど、ここに鯉や金魚など、魚がいたとしたら、その魚達はどこに行ってしまったのだろうか…。 ホームは、元は駅舎側の1面1線、海寄りの島式の1面2線と、計2面3線で、側線もあったようだ。だが、今、レールが通っているのは、一番海側のホームの1線のみだ。そして、使われなくなった番線は埋められ、駅舎側とは”陸続き”になり、側線やホームなど、レールが剥がされたスペースも雑草が茂り、空地のようにがらんとしている。 空地のような空間の隅に、鉄道施設と思われる古い木造の小屋があり、好奇心がくすぐられる。中に人が住み着いている、あるいはサスペンスドラマばりに死体が転がっているという展開が頭を横切り、恐る恐る小屋に近付き、隙間から中を覗いてみる。がらんとした室内は埃っぽく、物が散乱し、もうまともに使われていない事を物語る。その中に、昔、下灘駅に掲示されていただろう黒板タイプの時刻掲示板など、鉄道関連備品がいくつか放置されたままだった。その時刻掲示板は八幡浜の浜が「濱」と旧字体で書かれており、結構古いものと推測できる。 あれこれ見ているうちに、伊予市行き列車の時間が近付き、駅にはぱらぱらと人が集まってきている。定刻に、瀬戸内海を背景に、単行の気動車が下灘駅に入線してきた。 [2002年7月訪問](愛媛県伊予市) |
![]() 下灘駅構内。使われなくなった番線は埋められ 空き地同然。隅の方に業務用と思われる木造の 小屋が… |
|
![]() その小屋の中にあった時刻掲示板。 |
![]() 伊予市行きの列車が瀬戸内海を背景に下灘駅に入線。 夕日がとてもきれいと言われ、晴れた日の日没の時に 再び訪れてみたい。 |
| Station Photographs−駅と駅舎の写真館-(C)solano. |