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JAL1181便・羽田発女満別行き、そして西女満別駅へ…


西女満別駅〜隠れ空港アクセス駅
 いよいよ存続が危うくなってきた、ちほく高原鉄道ふるさと銀河線に乗りたいと思いスケジュールを練った。長期の休暇が取り辛い身としては、飛行機に頼らざるを得ない。しかし、私は速さや、空からの眺めと言った鉄道とは違った魅力を持つ空の旅も好きだ。
 往路か復路のどちらかで、ふるさと銀河線にアクセスしやすい空路を選ぼうと思った。そこで、候補となる空港が、北見に近い女満別か、帯広と池田に近い帯広かに絞られた。空港バスの所要時間はどっちも大差無い。しかし、結局、女満別空港を選んだ。それには、西女満別駅という隠れ空港アクセス駅への興味が大きかった。
 鉄道書籍やレールファンの間で、空港アクセス鉄道が語られると、成田、関空などと言った、鉄道が直接乗り入れている空港はもちろん話題にのぼる。だが、女満別空港と石北本線、そして西女満別駅も、両者間の近接した距離ゆえに、同時に話題にのぼる事が多く、石北本線を女満別空港の空港アクセス鉄道として活用してはという意見も聞かれる。駅と空港の直線距離は約1km程度と近く、道路を歩く場合は約2kmとやや長くなるが、使えなくもない距離だ。ちなみに、石北本線と女満別空港ターミナルビルの最接近部分は、地図で測ると約500m程度とかなり近い。
 だが、近隣主要市町村からのバス路線があり、モータリゼーションが進んでいる中、わざわざ空港アクセス鉄道を作っても採算は取れないと見なされているようで、女満別空港の鉄道アクセスの実現化の気配は全く聞かなかった。また、現在の西女満別駅を空港接続駅として使うにしても、約2kmも荷物を持って歩くのは煩わしく、雪深く寒さが厳しい冬は論外だろう。列車ダイヤは航空便との接続を考慮したダイヤとは言えない。なので、西女満別駅を空港アクセスとして使う人はほとんどいないと思われる。
 地元の名古屋から女満別に飛ぶ便もあるのだが、到着が正午とやや遅くなる。だが、羽田からの7時55分発のJAL1181便だと、9時35分に女満別空港に到着でき、西女満別駅10時38分発の遠軽行き上り列車に間に合いそうだ。東京までの交通機関は、夜行快速列車「ムーンライトながら」にした。地元からの便があるのにわざわざ東京にまわるのは随分とめんどくさい気もするが、羽田空港を搭乗客として利用した事がないため興味があった。それに一風変ったルートで渡道するのも悪くはない。


JAL1181便、羽田発女満別行き
 品川から京浜急行の列車に乗り、6時過ぎに羽田空港に到着した。早朝にも関わらず、列車は大勢の人々を吐き出し、ホームは一瞬にして雑踏と化した。吹き抜けの巨大ターミナルも、国内各地へ向かう人々で賑やかで、さすが首都圏が擁する空港だけあるなあと感心。空港内のレストランで朝食を採り、混雑を避けるため、早々に、保安検査を受ける人々の列に並んだ。
 
羽田空港上空

羽田空港を離陸し、上空を旋回し北を目指す。
 
 示された搭乗口付近に行くと、日本エアシステム(JAS)塗装の機体がたむろしていた。元々、JASが使っていた区域なのだろう。合併後、数ヶ月しか経っていないので、一気にJALの塗装に刷新する余裕がないのだろうが、それでも機体には小さくJALのロゴと社名が記載されている。でも、私自身、JASが無くなった事に慣れていないせいか、JAS塗装の機体で、JALの社名は妙に浮いていて目立つ。
 搭乗案内があったので、指定された搭乗口に行くと、ボーディングブリッジではなく、バス乗り場だった。どうやらオープンスポットからの搭乗のようだ。乗客を乗せたバスは、2分程、空港の中を走ると、A300の前に停車した。折角だから、オープンスポットに駐機するA300の写真を撮ろうとしたら、係員に機内に入るように促されチャンスを逃した。
 平日とは言え、機内は異様な程、空いていた。2列席、4列席に、1人づつ程度の乗客しかいない。観光シーズンを迎えた北海道に向かう午前の便だから混雑していると思っていたが…。
 便は定刻に離陸し、羽田空港上空を大きく旋回しながら上昇し、機首を北海道に向けた。
 
屈斜路湖上空をかすめる

翼の下に広がる屈斜路湖。
 
 A300は洋上を順調に飛行し、降下が始まると、遂に緑の大地・北海道が見えてきた。眼下には、釧路市街や、背後に控えるような釧路湿原が見え、少し霞んではいるが、遠くには、厚岸湖、霧多布湿原、根室半島まで望めるダイナミックなパノラマが広がる。地上に居れば、広大な広さだが、上空を飛ぶ飛行機には、一跨ぎとばかりに、次の景色が展開する。そして、阿寒国立公園の上空に差し掛かり、摩周湖が見え、翼が屈斜路湖上空をかすめると、田園風景がぐっと近付き、女満別空港へと着陸した。
 
女満別空港周辺の風景

女満別空港周辺は田園風景が広がる。
 
西女満別駅へ

 列車の時間まであまり余裕が無いので、地図で道を確認すると、キャリーバッグを引き摺りながら、西女満別駅に向け歩き出した。女満別空港と私を運んだA300がどんどんと遠ざかっていく。周りは人家は少なく、空港に出入りする車など、空港に関係した音を除けば、至って静かな所で、のどかな田園風景が広がっている。そんな中、私が引くキャリーの耳障りな音がガラガラと響いていた。
 
西女満別駅とその周辺

跨線橋の上から西女満別駅が見えた。
 

 平坦な道が続いたが、道は途中から鬱蒼とした木々に囲まれた下り坂に変った。私は下りだからいいが、もし逆だったら荷物を抱えならが、この坂を上がらなければいけない。やっぱり西女満別駅は、女満別空港へのアクセスには使えないなと実感しながら坂を下った。
 途中で石北本線の跨線橋に差し掛かり、2本のレールの横に木々に埋もれながら、小さなホームが佇んでいる姿が見えた。西女満別駅だ。
 
西女満別駅への道

「西女満別駅」の看板(写真右隅)に従い、右に曲がる。
 
 矢印の通り、道を曲がり緩い上り坂を少し歩くと、鬱蒼とした木々が開けた所に駅はあった。無舗装の空地のような場所に、小さな待合室がぽつんと佇んでいた。駅は空港利用客を迎える立派な設備がある訳でなし、空港へいくバスや、客待ちのタクシーが停まっている訳ではなし、空港を案内している紙切れさえ、1枚も無かった。空港の近くにありながら、空港とは全く無縁だ。
 
西女満別駅駅前

西女満別駅。
 
 矢印の通り、道を曲がり緩い上り坂を少し歩くと、鬱蒼とした木々が開けた所に駅はあった。無舗装の空地のような場所に、小さな待合室がぽつんと佇んでいた。駅は空港利用客を迎える立派な設備がある訳でなし、空港へいくバスや、客待ちのタクシーが停まっている訳ではなし、空港を案内している紙切れさえ、1枚も無かった。空港の近くにありながら、空港とは全く無縁だ。
 
駅名標

駅名標。
 
 衣類などが入ったキャリーバックを引き摺り、カメラバッグを背負い、三脚を肩に掛けながら歩き続けようやく着いた。途中で写真を撮りつつ歩いて、女満別空港からここまで、30分弱かかった。
 
ホーム

ホームと待合室。
 
 歩いていたら何時の間にかホームに辿り着き、2本の線路が見えていた。本来なら、板張りやら、コンクリートなどで、明確にホームという台状の構造物を造るものなのだろう。しかし、傾斜地を切り開いてレールを敷いたため、地形に対し、道床部分だけが窪んだ形になっていて、その段差を利用してホームを造ったのだろう。そのせいで、どこからがホームで、そうでないのかがはっきりしない。
 
待合室内部

待合室内部。
 
 待合室はグリーン基調のこじんまりとした空間で、据え付けの木のベンチがあった。
 今回の北海道旅行は3日の滞在で、北海道フリーきっぷの普通車用を使うつもりだった(7日間有効の切符を僅か3日で放棄するような真似は馬鹿げている気もするが、北海道フリーきっぷはそれでも十分に元が取れる)。前回、北海道フリーきっぷを利用した時は、札幌駅の旅行センターから通信販売で購入したが、今回はあらかじめ購入しておく程でもなく、現地で購入するつもりだった。だが、今回の道内最初の乗車駅、西女満別駅は無人駅なので、北海道フリーきっぷを購入する事はできない。もちろん車内で購入できる切符ではないので、北見駅に着いてから購入するしかなかった。
 
西女満別駅、青空と雲

 
 天気は快晴で、空を見上げると、心地よく澄んだ青空に、薄くちぎったような雲がたなびいていた。そう言えば、ついさっきまでは雲の上にいたんだなぁと、ふと思った。昨晩は遠く名古屋駅でムーンライトながらを待ち、早朝は羽田空港に居て、それから1時間ちょっとで、北海道の地を踏んだ。それらついさっきにあったかのような出来事が、一つ一つ過去のものになっていき、今、ここに居る事が不思議な気分がした。
 
キハ40

西女満別駅にやって来た2両編成のキハ40。
だが、後ろの車両をよく見ると…。
 駅に着いてから僅か20分位で、遠軽行きの列車がやってきた。先頭は白のボディに緑のラインが入ったキハ40だが、よく見ると、後ろの車両は国鉄時代のオレンジ色だ。あれ?国鉄色のキハ40なんて、北海道にまだ残っていたっけ?と思い返したが、独特の窓の配置を見て、すぐに「あ、ぽっぽや号だ!」と思い出した。高倉健主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケのため、キハ40を、古い気動車調に外観を変更した車両だ。今まで、見る機会はあっても、乗る機会には恵まれなかったが、まさかこの時、この駅でその機会が巡って来ようとは…。意表を突かれたと思いつつ、車内に入ると、エンジンが直にゴゴゴと音を立てる。2泊3日の北海道鉄道旅行が始まった。


[2004年7月訪問]
(北海道網走郡女満別町。※訪問時。現在は大空町。)
 
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追記

 やはり、これだけ空港に近い駅を何とか空港アクセスとして活用できないものかと、あれこれ想像に耽る。例えば、石北本線を女満別空港地下を通るルートに変更し、空港駅を設置する。或いは、数百メートル網走寄りの、女満別空港への道路と石北本線が交差する地点に駅を移動する事により、アクセスルートを解りやすくし、なおかつ空港への距離を縮めるとか…。採算性への疑問やら、諸々の問題を知りつつ、レールファンの妄想は尽きない(笑)

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 この項をまとめている時に、女満別空港の鉄道アクセスが現実味を帯びるようなニュースが、突如、飛びこんで来た。それは、ローカル線の経営改善対策として、JR北海道がテストを重ねている道路と線路の両方を走行できる車両、「デュアル・モード・ビーグル(DMV)」が、2006年秋に営業運行される方向となり、2005年9月と10月に北見駅−西女満別駅−女満別空港間で、2両編成のDMV「U-DMV」による試験走行が実施されるからだ。DMVを2両繋ぐ事により、定員を増加でき、分割・併合により、目的地をきめ細かく設定できるとの事。もちろん、北見駅と西女満別間は石北本線上を走り、西女満別駅と空港間は道路を走る。これから、DMVのテストに向けて、西女満別駅の配線や駅の構造も変っていく事だろう。
 JR北海道にとって、女満別空港の鉄道アクセスは眼中には無いとばかり思っていたが、「そう来たか、JR北海道よ!」と意表を突かれた。鉄道に近いという好条件がありながら、路線変更するまでの価値は薄い西女満別空港に、DMVはまさにぴったりだ。テストでは北見間のみだが、網走や知床方面の路線も面白そうで、知床半島の羅臼発、知床峠、知床五湖、ウトロ、知床斜里、原生花園、網走経由、女満別空港行きなんて路線が出来たらと夢が膨らむ。女満別空港へのDMV路線は決定とは書かれていないが、これまでDMVのテストが行われてきた、札沼線の末端部、日高本線と共に、投入候補の一つである事は間違い無いだろう。

Station Photographs‐駅と駅舎の写真館‐(C)solano.