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中塩田駅(上田電鉄・別所線、洋風木造駅舎)


修復前の中塩田駅駅舎

 中塩田駅は終点の別所温泉駅と共通デザインの洋風駅舎だ。別所温泉駅は文字通り別所温泉の玄関口として整備されているが、この中塩田駅は朽ちるに任せているといった印象。爛れているかのように壁が剥がれるなど痛みが目立つ状態で、取り壊しを待つだけのように思えた。
 
側線に放置される丸窓電車・モ5250形

踏切を隔て上田方にある側線跡には、丸窓電車ことモハ5250形電車が放置されていた。こちらも悲惨な保存状態で、これが長年活躍した名車の末路かと思うと哀れみさえ感じる。だがその後、この電車は上田市内にある長野計器(株)の工場に引き取られ、整備・保存され、一般公開されている。

修復後の中塩田駅駅舎

 数年後、中塩田駅を再訪してみようと思った。あれから更に荒廃しているのだろうとか…、もしかしたら既に取り壊されているかもと思っていたが、意外にも、整備されていた。全面的にとまではいかないものの、壁が剥が落ちた部分など、主な部分は修復されていた。
 
車寄せの社章

 英語で「NAKASHIODA STATION」と正面に刻まれいる所や、車寄せの社紋が、古びていてもなお誇らしげで、年月を経てきた駅の風格を漂わす。
 
窓

 待合室部分の窓の一部はサッシ窓に変えられていたが、木枠で木の窓枠風に仕上げられている所が目を引く。これを見たとき、修復に関わった人は中塩田駅の良さをよくわかっているものだと感心した。窓としての機能はサッシ窓で十分果たせているが、やはりレトロで趣のある洋風木造駅舎にサッシ窓が露出しているのは雰囲気を損ねる。この窓枠を経営が厳しい上田電鉄がやっているのだから余計に感心だ。経営事情で新駅舎を建てる費用がままならないというのもあるのだろうが、この駅舎をできる限り大切に使っていこうという気持ちが感じられる。
 
待合室と窓口跡

 駅舎内の窓口跡と待合室。現在は無人駅となり塞がれてはいるが、比較的、原形を保っていると思われる。カウンターにはおもちゃやぬいぐるみが放置されていた。明るい緑色に塗られているのが、古くくすみがちな駅舎を明るい雰囲気にしようという意図を感じるが、やや派手な感じ…。願わくば、こちらも茶色など渋い色に塗り替えて、窓口も復元し、レトロな雰囲気を再現して欲しいもの。
 
木製の改札口

木製の改札口も残る。
 
駅舎ホーム側

 駅舎ホーム側。紺色の手書き駅名看板が渋く、いい味を醸し出し、昔ながらの造りと雰囲気を留める駅舎によく合っている。最近は駅舎など鉄道施設を登録有形文化財に登録する動きが見られるが、中塩田駅もその資格は十分に持ち合わせているように思える。
 
雑草が生い茂るホーム

ホーム上田方は荒れ放題で雑草や花が生い茂り、塞がれた古井戸も残っている。このスペースにはかつて何があったのだろう?
 
ホーム上で栽培されるトマト

 雑草で荒れ放題の中に、プチトマトやナスが育っていた。棚が新めでしっかり作られているので、近所の住民が育てているのだろう。
 
保線車両が留置される側線

 かつて丸窓電車が保管されていた側線には保線用車両が置かれている。同じ敷地に家屋があるが、現在は使われていない様子。よく見ると窓に日本通運の社章のステッカーが貼られていた。かつて日本中津々浦々の駅前に、日本通運の営業所があったように、この駅にもあったのだろう。
その家屋と側線の間は空地になっているが、昔は側線が何本もあり、貨物の取り扱いも盛んだったのだろう。2008年8月に元東急電鉄の1000系が上田電鉄で運転開始となったが、3月の搬入の際に、この空地が使われ、この側線のレールに載せられ本線に入ったという。
 
中塩田駅ホームと廃ホーム

 かつては2面2線だったが、今では一面一線になっている、今でもこの廃ホームのレールは側線として使われているが、別所温泉方ではレールは繋がっていない。しかし上田方の踏切付近で繋がっていて、先ほどの空地の側線から本線に入る場合、一端、この廃ホームの側線まで入り、スイッチバックしている。
雨の中塩田駅

 中塩田駅に到着した時、空は晴れ渡っていたが、いつの間にか、曇っていて、遂に雨が強く降り出した。ゲリラ豪雨と呼ばれる今年の晩夏を象徴する天気だ。急な雨で下車客は雨具の用意が無く、駅舎までダッシュする。
 
乗車位置案内板

 ガラス板の乗車位置表示板。いろいろなものが、この駅のレトロで懐かしい雰囲気を作り上げている。


[2008年8月訪問](長野県上田市)

Station Photographs-駅と駅舎の写真館- (C)solano.