![]() 上熊本駅(JR九州・鹿児島本線)の2代目駅舎は、1913年(大正2年) に建てられ、洋風の木造駅舎として知られていた。 しかし、九州新幹線工事に関連し高架化される事になり、この名駅舎は 取り壊しの危機に瀕していた。しかし、地元の人々の保存運動により、 隣接する熊本市電の上熊本駅前駅の駅舎として移築される事になった。 |
![]() そして、2006年に移築が完了した。中央に車寄せを配置し、大きめで 横長の洋風駅舎は、正面から見れば、他の木造駅舎とは違う威風堂々 とした雰囲気を放つ。元々そういう色だったのか、移築後は、濃い緑色の 木の柱や枠、パステルグリーンが目立つ色使いになった。 |
![]() 移築と言っても、完全という形からは程遠く、電停の上屋として、旧駅舎 の正面と屋根を流用していると言った方がより正確。屋根の下は2線分の ホームがあり、市電が停車すれば人々が足早に行き交う。道路側の軒下 はバス待合所としても使われている。正面から見ると堂々たる洋風木造駅舎 だが、横から見ると壁か仕切りのようで、正直拍子抜けしてしまう。まだ 移築後、間もなく、ペンキでつやつやしている事もあり、映画やTVのセット のようで重厚感や渋味には欠ける。 |
![]() かつては私も通った事がある旧駅舎と車寄せ。移築されたが、こうして、 別の形で巡り合えるとは不思議な感覚を覚える。しかし現在では出入口 としては機能していなく、奥にひょっこりと市電が顔を覗かせているのが、 また不思議。スペースに余裕がなかったためか、車寄せは移設前より のめり込んだ位置に設置されている。 |
![]() 丸ポストも移設された。 |
![]() 道路を隔てた反対の歩道に、夏目漱石の像が設置されている。元々は JR上熊本駅ロータリー真ん中の駅舎正面に置かれていたが、旧駅舎と ともに移動された。漱石は1代目駅舎の頃だが、1896年(明治26年)4月、 旧制第五高等学校(現;熊本大学)に赴任する際、上熊本駅(当時の駅名は 池田)に降り立った。 |
![]() 上熊本駅のホームから上熊本駅前駅を見る。電停の上熊本駅前駅に 隣接して、市電の車庫が併設されている。交通量の多い道路とJRの駅に 挟まれた所に、電停と車庫がある。決して余裕ある土地があった訳では ないだろうから、移築の際は苦労も多かったのだろう。保存という観点からは 不完全な形になってしまった感があるが、それでも街とともに歩んできた 歴史ある旧駅舎をこの地に残したいという人々の思いが、完全解体の危機 から救った事は意義が大きいと思う。九州新幹線開通後も、街の歴史を語る 生き証人として、凛として佇んでいてほしいものだ。 [2007年6月訪問](熊本県熊本市) |
| Station Photographs‐駅と駅舎の写真館‐ (C)solano. |