弘前東高前駅 (弘南鉄道・弘南線)~昭和レトロなムード漂う古駅舎~



弘前駅から一駅、2階建ての駅舎

弘南鉄道・弘南線、弘前東高前駅の昭和レトロな駅舎

 弘南鉄道・弘南線、弘前駅の一つ手前の弘前東高前駅で下車した。古そうな駅舎で、大きな窓と直線的な形状が印象的。窓枠は木製だった。洒落ているという訳ではないが、古い昭和の建物と言ったレトロ感が漂い、どこか魅かれるものがある。駅舎には「津軽建設事業協同組合」が入居し、待合室出入口とは違う玄関に看板が掲げられている。

弘南鉄道・弘南線・弘前東高前駅、屋外の降車用改札口

 乗降客の動線が分離されていて、乗客は待合室からホームに入り、下車客は軒の下を通り直接外に出るようになっている。平日の通勤・通学時間帯しか駅員が配置されず、それ以外は無人駅となり、待合室には鍵が掛けられるとの事。

弘南鉄道・弘南線・弘前東高前駅の駅舎、地下への階段

 駅正面の階段の横に、地下への階段があるが、その先のシャッターは下ろされている。昔は何かお店があったのだろうか?古い建物に組み込まれた狭い階段が謎めいた雰囲気を漂わる。鄙びた酒場、スナックが似合う風情だ。

弘前市内、弘南鉄道・弘前東高前駅近くの交差点

 駅は市街地の中にあり、車の通行も多い。目の前にはJR奥羽本線の踏切がある

弘南鉄道・弘南線・弘前東高前駅、売店跡と待合室

待合室内には売店の跡がある。シャッターは比較的きれいなので閉店されてから長くは経っていなさそう。

 売店跡には時代を感じる「でんわ・でんぽう」の看板が掲げられている。電報は昔は緊急の用件を伝達するのによく使われたらしく、小説やドラマの中で「○○ キトク スグカエレ」という電報が登場した場面を何度か見た記憶がある。だが、私の物心ついた頃は電話が完全に普及していて、実生活の中で、電報は弔事・祝辞以外では接した事が無い。そして、現在、公衆電話も携帯電話に駆逐されつつある。「でんわ・でんぽう」の看板の下、女子高生が携帯電話でメールを打っている姿は、まるでそんな時代の流れを象徴しているかのようだ。

弘南鉄道・弘南線・弘前東高前駅の駅舎、切符売場と改札口

 有人時間帯には委託ではあるが駅員が勤務についている。窓口の上部にはJR主要駅への運賃も表示されていた。

弘南鉄道・弘南線・弘前東高前駅、プラットホーム

 プラットホームは元々2面3線の構造だが、今は駅舎からいちばん離れた番線しか使われていない。レールが剥がされた部分には、雑草が青々と茂っていた。

弘南鉄道・弘前東高前駅、レールが剥がされた番線と側線跡ホーム

 駅舎と地続きで、古びた廃ホームが残っている。かつて貨物でも扱っていた側線の跡なのだろうか…。

弘南鉄道・弘南線・弘前東高前駅、駅舎ホーム側

 ホーム側から駅舎を見てみる。待合室や駅務室は階段を数段上ったやや高い所にあり、雪が積もっても埋もれづらい造りがなされている。駅務室の外にベランダのようなものがあるのが面白い。こちらも積雪対策のためか、駅務室などと同じ高さにされている。雪深い時期、駅員さんがここに立ち、列車の安全運行を見守った様子が頭の中に浮かんできた。

[2007年(平成19年) 9月訪問](青森県弘前市)

~◆レトロ駅舎カテゴリー: 一つ星 私鉄の一つ星駅舎