| No.11 | ![]() |
駅前を散策していると、 木の板で窓や扉を固く閉ざされた商店の廃屋があった。 人に棄てられ、随分と経っていそうだが、この駅前の他の廃墟のように、 時の流れの中で、超然と佇んでいるかのような空気を醸し出している。 列車待ちのつれづれに、駅ノートに目を通していると、 「以前はここで切符の販売をしていた」という記述を見つけた。 あの廃屋の事だった。 (JR北海道・根室本線、上厚内駅) |
| No.12 | ![]() |
駅で昼食にパンを食べていると、どこからともなく 子犬がやってきた。首輪が無いのと、毛並みの乱れ様から たぶん野良犬なんだろうなと思った。 面白半分に近寄ってみたが、素早く後ずさりされ、距離は縮まらない。 どうしても関心を引きたく、パンをちぎって 子犬と私の真中に投げてみた。 子犬はサッとパンに飛びつき、美味しそうにパクパクと食べていた。 (小湊鉄道・月崎駅) |
No.13![]() |
初めてこの駅を通過した時、 名古屋駅から一駅にも関わらず何も無く、 まるで秘境駅のような様相を呈していた。 だが、それから10ヶ月後、この駅に降り立つと 眼前には幾色の光を放ちながら回る 大観覧車がそびえ、そして、人々の楽しげな声が さざめくきらびやかなアミューズメントタウンが 出現していた。 愛知万博のサテライト会場として出現したこの街も、 万博の閉幕に合わせ、この世から消える。 まるで、うたかたの街…。 (あおなみ線・ささしまライブ駅) |
| No.14 | ![]() |
コオロギの鳴き声を打ち消すかのように、 電車とは違う重厚な列車の音が夜の駅に響き渡った。 数日後には廃止となる寝台特急「彗星」だ。 数分間、青い車体をホームに横たえた後、 再び京都への旅路に就いた。 去りゆく姿に、惜別の思いを込めシャッターを切った。 フィルムに遺された姿…、それはまさに彗星の如くだった。 (JR九州・日豊本線、重岡駅) |
| No.15 |
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かつて列車で降り立った事のある廃線の駅に立ち寄ってみた。 プラットホームに回ると、構内は雪ですっかり埋もれ、 もう乗客を迎え入れる事も無い古い改札口が、 冬の束の間の日差しを暖かそうに浴びていた。 (JR北海道・標津線、根室標津駅跡) |
No.16![]() |
列車が停車した時、 待合室の外の壁に据付けられた電灯の笠に 雪が覆い被さるように積もっていた。 電灯と雪が造り出した冬の造形に目を奪われ、 そして、細い棒一本で雪にじっと耐え、 夜になると駅を照らしてくれるこの電灯を 頼もしくも思った。 (長野電鉄・夜間瀬駅) |
| No.17 |
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夜の闇から解き放たれ 空が赤く染まり始めた頃、 凍てつく駅に、今日最初の普通列車の エンジンが聞こえてきた。 (JR北海道・宗谷本線、幌延駅) |
No.18![]() |
駅のはるか上空に描かれたひこうき雲を見上げ この飛行機の目的地はどこなのだろうと 想いを巡らせた。 (JR東海・武豊線、東浦駅) |
| No.19 | ![]() |
武骨で古びていて… どこか懐かしい木の扉を開け、 待合室の中に入った。 こうしてこの駅が旅人を迎え入れるのも あと僅かとなってしまった。 (ちほく高原鉄道・川上駅) |
| No.19 | ![]() |
かつては人々で賑わった待合室に、 列車から剥ぎ取られた吊革が放置されていた。 それは、レールは生き、駅舎は残っているものの、 もう旅客列車は廃止されていることを物語っていた…。 (小坂精錬・小坂駅) |
| Station Photographs‐駅と駅舎の写真館‐ (C)sloano |